
退職時に最終給与から引かれる住民税の「一括徴収」とは?【税理士監修】
源泉徴収票は色々な場面で使うことになる大事な書類です。退職後も必要になる場面があるため、会社から受け取る必要があります。
この記事では、源泉徴収票について、源泉徴収票の種類や退職後の受け取り方、使うタイミングなど幅広く解説します。
この記事を参考に源泉徴収票の理解を深め、大切に保管するようにしましょう。
源泉徴収票は、その年1年間の会社から支払われた給与・賞与などの所得金額と自分が支払った所得税の金額が記載された書類です。
ここでは、源泉徴収のそもそもの意味や源泉徴収票でわかることについて解説します。
源泉徴収は、納付を義務付けられている所得税に関して、企業が労働者の給与額から一定率の額を差し引き、労働者に代わって国に納付する仕組みです。
所得税は1月~12月の所得から算出されますが、実際に支払うべき税額が確定するのは12月です。
各月の控除は見込みで行われているため、ほとんどの場合で過不足が生じます。
そのため、会社は月々の天引きで生じた納税額の過不足を、年末調整でまとめて調整しています。
源泉徴収によって労働者は給与から自動的に税金が差し引かれるため、個別で納税手続きをおこなう手間がかからないことが特徴です。
源泉徴収票では、その年の収入や控除、税額を確認できます。
図の①~④の詳細は下記の通りです。
①支払金額
②給与所得控除後の金額
③所得控除の額の合計額
④源泉徴収税額
源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」の2種類に分かれます。
ここでは、2つの源泉徴収票について解説します。
給与所得の源泉徴収票は、その年の1年間に会社から支払われた給与の総額と、支払った所得税の金額が記載されている書類です。
基本的には、年末調整後の12月の給与明細と一緒に受け取りが可能です。
年の途中に退職した場合、年末調整前の概算支払いをした金額が記載された「給与所得の源泉徴収票」が発行されます。
給与所得の源泉徴収票は、年末調整や確定申告に必要な書類です。
退職所得の源泉徴収票は、退職時に支給される退職手当と、それに応じた所得税の金額が記載されている書類です。
退職手当が支給された場合に発行されます。
通常の給与と違って、退職手当は年末調整の手続きが必要ではありません。
源泉徴収票の必要になるタイミングは主に以下の通りです。
ここでは、それぞれの場合について解説します。
転職の際、次の勤務先への源泉徴収票の提出を求められます。
これは、次の勤務先が前の会社の給与や税金を合わせて年末調整を行う必要があるからです。
源泉徴収票の提出は強制ではありませんが、提出しない場合、確定申告を自分で行う必要があります。
ご自身で確定申告する理由がない限りは、次の勤務先へ源泉徴収票を提出しましょう。
確定申告をおこなう際にも、源泉徴収票が必要です。
会社員の場合、基本的には会社が年末調整をしてくれます。
ただし、医療費控除や住宅ローンの控除などを追加で申請する際には、自分で確定申告をする必要があります。
源泉徴収票には年間の収入やすでに支払った税額といった、確定申告書を記入する際に必要な情報が記載されています。
結婚や自宅の購入などのライフイベントの時にも、源泉徴収票が必要になる場合があります。
住宅ローンを申請したり、家族の扶養に入ったりするときには、収入の確認が必要になるからです。
市区町村役場で発行できる収入証明書類もありますが、一般的には源泉徴収票の方が収入金額を証明する書類として効果的です。
収入証明を求められた場合には、源泉徴収票を提出しましょう。
退職時の源泉徴収票は最後の給与支払日の前後に発行されるのが一般的です。
企業は退職者に対して退職後1か月以内に源泉徴収票を渡すことが、法律で義務づけられています。
そのため、退職後も基本的には、会社員であれば催促しなくても会社から送られてきます。
もし源泉徴収票が送られなかった場合の対処法は、後の「前職の源泉徴収票がもらえない場合」セクションをご覧ください。
転職のタイミングによっては、前職からの源泉徴収票の発行が、転職先での年末調整に間に合わないことがあります。
その場合、確定申告を自分でおこなう必要があります。
近年では確定申告用のソフトやアプリも出てきていますが、税理士などの専門家に相談することもおすすめです。
自分で確定申告をする時間がない場合は、税理士に代理で申告をしてもらうことも可能です。
前職の勤め先から源泉徴収票を発行してもらえない場合は、早い段階で勤め先の担当者に問い合わせましょう。
源泉徴収票が発行されない場合、年末調整や確定申告に影響が出てしまいます。
問い合わせても対応されない場合は、税務署や労働基準監督署に相談することを検討している旨を伝えると効果的です。
もし会社に連絡をしても源泉徴収票が送付されない場合は税務署に相談しましょう。
「源泉徴収票不交付の届出手続き」を行うことで、税務署から会社に税務指導が入り、源泉徴収票の発行を依頼してくれます。
前職の会社が倒産している場合でも、源泉徴収票発行の義務が免除されるわけではありません。
会社に連絡が取れない場合は、会社の破産手続きを担う破産管財人に対して、源泉徴収票の発行依頼を行います。
もし、破産管財人とも連絡が取れない場合には、税務署で「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう、
それでも源泉徴収票が発行してもらえない場合、税務署の判断により給与明細を使った確定申告が認められるケースもあります。
そのため、給与明細は万が一に備えて大切に保管しておきましょう。
源泉徴収票をなくしてしまった場合、すぐに再発行を依頼しましょう。
源泉徴収票は、会社が発行する重要な書類ですが、万が一のために再発行が認められています。
まずは会社の人事部や経理部などの担当者に電話やメールで連絡し、再発行を依頼しましょう。
PDFデータでの送信であれば、すぐに送ってもらえるかもしれません。
一方、 郵送で再発行する場合は、繁忙期では1~3週間ほどかかる可能性があります。
郵送の際には、郵送費用の負担が必要かも確認しておきましょう。
再発行された源泉徴収票を受け取った際には、内容に不備がないかの確認もしておきましょう。
この記事では、退職時に発行される源泉徴収票について解説しました。
源泉徴収票は退職後も必要になる大事な書類です。
この記事を参考に、源泉徴収票を使う場面を理解し、大切に保管するようにしましょう。