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退職後の住民税はどう納める?納付方法や納税額について詳しく解説!【税理士監修】

退職後の住民税はどう納める?納付方法や納税額について詳しく解説!【税理士監修】

退職をすると、給与から自動的に引かれていた住民税の支払い方法が変わります。
特に、退職後に転職先が決まっていない場合、自分で住民税を納めることになるので、住民税の仕組みや支払い方法を理解しておくことが大切です。

本記事では、住民税の基本から、退職後の具体的な納付方法と注意点まで、わかりやすく解説します。

住民税の基本

そもそも住民税とは、どのような税金かご存じでしょうか。

住民税は、私たちが住む地域で利用するさまざまな行政サービスを支えるための税金です。
たとえば、社会福祉や子育て、道路・公園・住宅の建設や管理、消防や救急、ゴミ処理などに役立てられています。

住民税、は「市町村民税(東京23区は特別区民税)」と「都道府県民税」の2つの税金で成り立っています。

  • 市町村民税:各市町村に対して納める税金
  • 都道府県民税:各都道府県に対して納める税金

住民税の納付額はどうやって決まる?

では、私たちの生活に身近な住民税の納付額はどのように決まるのでしょうか。

住民税は、「所得割」「均等割」の2つの合計で決まります。

  • 所得割:前年(1月1日~12月31日)の所得に応じて負担額が決定
  • 均等割:所得にかかわらず定額で負担

所得割の税率は、基本的に10%(道府県民税4%+市町村民税6%※)です。
ただし、各自治体の判断で税率を定めているため、住んでいる地域によって税率が少し異なる場合があります。

均等割の基本額は、4,000円(道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)でしたが、2024年度からは「森林環境税」として、さらに年額1,000円が加わりました。

※指定都市に住所を有する者は2% と8%

住民税はどうやって納める?

このようにして毎年納付額が決まる住民税ですが、その納付方法についても解説します。

住民税は、前年の収入が確定した後、6月から翌年の5月までの1年間にわたって納付します。

納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2つです。

  • 特別徴収:会社が給与から天引きして納税する方法
  • 普通徴収:納付書を使い自分で住民税を支払う方法

特別徴収

特別徴収は、会社が給与から天引きして本人に代わって納税する方法です。
ほとんどの会社員がこの方法に該当します。

会社が行ってくれるので支払い忘れの心配がなく、1年分の住民税を毎月分割して支払うため、月ごとの負担が一定です。

普通徴収

普通徴収は、自営業者や会社員以外の人などが、自分で住民税を支払う方法です。
ただし、会社員の場合でも退職した時の時期や状況によっては、特別徴収から普通徴収に切り替わることがあります。

自治体から送られてくる納付書を使い、金融機関やコンビニで支払います。
また、一部自治体ではクレジットカードやインターネットバンキングから支払うこともできます。

納付するタイミングは、以下のように選べます。

  • 年4回払い:6月末、8月末、10月末、翌年1月末に分割して支払う。
  • 一括払い:全期分を6月末までに一括でまとめて支払う。

支払いを忘れると延滞金が発生するリスクがあり、特別徴収より1回あたりの負担が大きくなります。

退職した場合の住民税の納付方法

では、会社が給与から代わりに払ってくれている会社員は、退職するとどのように住民税を納めるのでしょうか。

退職後の税金の納付方法については、「退職する時期」や「転職先が決まっているかどうか」「空白期間があるか」によって変わります。

すぐに転職先で働きはじめる場合

転職先がすでに決まっていて、退職後に空白期間がない場合、住民税は引き続き「特別徴収」で納められます。

ただし、転職先で住民税の特別徴収を再開するには、退職する会社と転職先の会社で事務手続きが必要となります。

退職する会社に転職先を知られたくない場合は、一度普通徴収として自分で住民税を納め、転職後に再び特別徴収に戻す手続きをする必要があります。

転職先が決まっていない場合

退職後、次の勤務先が決まっていない場合は、「普通徴収」で自分で住民性を納める必要があります。

また、退職するタイミングによって、残りの住民税の納め方が変わるので注意が必要です。

▼ 1月から5月までに退職

1月1日~5月31日の間に退職する場合は、退職月から5月までの残りの住民税を、最終給与や退職金から一括徴収することが一般的です。

これは、住民税が6月から翌年5月までの1年間を通じて納めるものだからです。
ただし、最後の給与支払額が一括徴収によってマイナスになってしまう場合には、一括徴収ではなく普通徴収に切り替えることも可能です。

▼ 6月から12月までに退職

6月1日~12月31日の間に退職する場合は、どちらかの納め方を選ぶことになります

  1. 退職月の住民税のみを天引きし、翌月以降は普通徴収で支払う
  2. 未払い分の住民税を最終給与または退職金から一括で天引き(一括徴収)し、翌6月以降から普通徴収で支払う

どちらの場合でも、その後再就職した会社で、また普通徴収から特別徴収に切り替えることができます。

退職後の住民税の納付についての注意点

退職後に住民税を納める際には、いくつかの注意点があります。
予期せぬ出費やトラブルを防ぐために、事前にチェックしておきましょう。

①退職後の年収が下がっても住民税は変わらない

住民税は、現在の収入ではなく、前年の収入をもとに計算される税金です。
そのため、退職後に転職して年収が下がったり、しばらく収入がなくなったりしても、支払う住民税の金額は変わりません

退職後の状況によっては、大幅に手取りが下がってしまう可能性があるので注意が必要です。

➁期日までに納付しないとペナルティがある

特に、しばらく再就職する予定がない場合や、貯蓄が少ない場合には、住民税の支払いが難しくなってしまう可能性があります。

住民税の支払い期限を過ぎると、自治体から督促状が送られてきます。もし、滞納してしまうと以下のようなペナルティの可能性もあります。

  • 延滞税の発生:支払いが遅れるほど、延滞税というペナルティが加算
  • 財産の差し押さえ:長期間の滞納を放置すると、預金や財産が差し押さえられる

退職を考えている人、または退職をしたばかりの人は、住民税の金額を事前に確認し、支払いのための資金を準備しておくことが大切です。

また、払い忘れないためにも支払いの期限をしっかり確認し、早めに支払うようにすると安心です。

まとめ

この記事では、退職後の住民税の納付方法や注意点について解説しました。

  • 住民税は前年の収入をもとに計算される
  • すぐに転職先で働く場合は、手続きをすることで、変わらず会社が給与から納めてくれる
  • 退職時期によって、納付方法の選択肢が異なる
  • 退職後に普通徴収になる場合、自分で住民税を納めなくてはならないので支払い忘れに注意
  • 住民税の支払いを見越した資金計画が大切

退職後の住民税の納付は一見複雑に感じるかもしれませんが、事前にしっかりと情報を整理し、適切に対応することでトラブルを回避できます。

「転職活動は終わったけど、退職手続きがわからない」、そのような人はぜひ下記の記事も参考にしてみてください。

  • 増田 浩美
増田浩美税理士事務所所長

    増田 浩美 増田浩美税理士事務所所長

    女性ならではのきめ細やかな視点を強みに、企業から個人まで幅広い税務のサポートを行う。 ホームページ:http://www.zeimukaikei.jp/

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