
7月といえば?行事・旬の食べ物・見頃の花・服装のポイントまで、7月について徹底紹介
時候の挨拶は、ビジネスやプライベートの手紙やメールに季節感を添える大切な要素です。
特に5月は、春の名残とともに、初夏の訪れを感じさせる表現が多く使われます。
この記事では、5月の時候の挨拶について、書き方の構成やビジネス向け・カジュアル向けの時期別(上旬・中旬・下旬)表現に加え、結びの挨拶や季節感を伝える話題の例を紹介します。
時候の挨拶とは、季節感を伝えるための挨拶文のことで、メールや手紙などの書き出しに使われます。
5月の時候の挨拶には、新緑や若葉、風薫るなどの初夏らしいキーワードを盛り込むと、相手に爽やかな印象を与えることができます。
【①前文】
拝啓
新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。←時候の挨拶
平素より格別のご愛顧を賜り、心より御礼申し上げます。
【②主文】
さて、このたび弊社では、新商品の発表会を開催する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。
つきましては、貴社の皆様にもぜひご参加賜りますよう、お願い申し上げます。
当日は新商品の展示に加え、特別講演や実演デモンストレーションも予定しております。
お差し支えなければ、ぜひご参加いただけますと幸甚に存じます。
【③末文】
初夏の日差しがまぶしい今日この頃、貴社のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
何かとご多忙のことと存じますが、今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
【④後付】
2025年5月〇日
株式会社〇〇〇〇
〇〇 〇〇
株式会社△△△△ 御中
丁寧な手紙やビジネス文書では、「前文」→「主文」→「末文」→「後付」という4つの構成で挨拶文全体が成り立っています。
時候の挨拶は、この「前文」に含まれます。
時候の挨拶には、短く簡潔に伝える「漢語調」と話し言葉で伝える「口語調」の2つのスタイルがあります。
漢語調は、格式が高く、フォーマルな印象を与えます。ビジネス・公的な場面で使われることが多いです。
例:薫風の候
口語調は、自然な表現で、親しみやすい印象を与えます。個人的な手紙・カジュアルな場面で使われることが多いです。
例:さわやかな風が吹く季節となりました
ビジネス向けの文章の書き出しでは、季節を表す「〇〇の候」といった漢語調の表現を用い、相手の繁栄や健康を喜ぶ言葉につなげます。
「〇〇の候」は、同じ意味の表現「〇〇の折」や「〇〇のみぎり」に置き換えることも可能です。
5月を通して使える漢語調の時候の挨拶には、以下のものがあります。
■ 5月全般で使える時候の挨拶の語句
語句 | 意味 |
---|---|
新緑(しんりょく) | 芽吹いたばかりの鮮やかな緑 |
若葉(わかば) | 初夏に芽生えたばかりの若葉 |
青葉(あおば) | 鮮やかに茂る緑の葉 |
薫風(くんぷう) | 初夏に吹くさわやかな風 |
緑風(りょくふう) | 若葉の間を吹き抜ける爽やかな風 |
これらの語句は、5月のどのタイミングでも使えるため、迷ったときの定番表現としておすすめです。
次に、5月の初め、上旬・中旬・下旬と時期に合わせて使える漢語調の時候の挨拶を見ていきましょう。
暦のうえでは立春から立夏の前日(5月4日頃)までが春とされています。
そのため、5月の初めには「春の終わり」を感じさせる挨拶を使うことができます。
■ 5月上旬で使える時候の挨拶の語句
語句 | 意味 |
---|---|
晩春(ばんしゅん) | 春の終わりを感じさせる時期 |
惜春(せきしゅん) | 過ぎゆく春を惜しむ |
葉桜(はざくら) | 花が散って若葉が芽吹いた桜 |
例文
晩春の折、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
5月5日頃の立夏を過ぎると、暦のうえでは「夏」となります。
この時期は、初夏を感じさせるさわやかな気候にふさわしい言葉が選ばれます。
■ 5月中旬で使える時候の挨拶の語句
語句 | 意味 |
---|---|
立夏(りっか) | 暦の上で夏が始まる日(5月5日頃) |
初夏(しょか) | 夏の始まり(二十四節気の立夏、小満の期間) |
薄暑(はくしょ) | 夏の訪れを感じさせる梅雨前の軽い暑さ |
軽暑(けいしょ) | 本格的な暑さが始まる前の心地よい暑さ |
新茶(しんちゃ) | 5月頃に摘まれる茶葉 |
例文
立夏の候、貴社におかれましてはご隆盛のことと存じます。
5月も終盤に差しかかると、日差しはさらに強まり、夏の訪れを感じる気候になります。
この時期は、夏の気配を感じさせる言葉や、二十四節気の小満を迎えたことを伝える言葉が選ばれます。
■ 5月下旬で使える時候の挨拶の語句
語句 | 意味 |
---|---|
向暑(こうしょ) | 暑さが近づいてくる時期 |
小満(しょうまん) | 5月21日頃の二十四節気、草木が茂る時期 |
例文
向暑のみぎり、貴社におかれましては、一層のご繁栄のこととお喜び申し上げます。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けた日本の暦のことです。
ビジネス向けの結びの挨拶には、フォーマルで相手への気遣いが伝わる表現を使います。
必ずしも季節感を入れる必要はありませんが、5月らしい表現を加えるとより風情のある印象になります。
【会社の発展を願う表現】
相手企業の成長や繁栄を祈る言葉は、フォーマルな場面に最適です。
【今後の関係を大切にする表現】
これからの関係への願いや、ご協力をお願いする気持ちを込めた一文も、ビジネス文書では定番です。
【相手の健康を気遣う表現】
季節の変わり目には、体調への配慮を示す一文も効果的です。
ビジネス文書では格式ある「漢語調」の表現が使われますが、親しい人やプライベートなやりとりでは、もっと柔らかく、会話に近い表現が向いています。
参照:日本郵便「手紙の基礎知識 時候の挨拶」
カジュアルな文面では、結びの挨拶も改まった表現より親しみやすい言葉でまとめます。
ビジネス向けほどかしこまらず、相手の体調や今後のことを気遣う温かな言葉で締めくくるとよいでしょう。
【相手の健康を気遣う表現】
「5月病」という言葉もある季節。健康への気遣いの一言を添えると素敵な締めになります。
【季節の話題を添える表現】
さりげない季節の話題を入れるだけでも、相手にとって親しみのある締めくくりになります。
【相手の生活に寄り添った表現】
新年度で環境が変わった方も多い時期。相手の立場に寄り添った言葉がけは、やさしい気持ちを伝える助けになります。
ここでは、5月の時候の挨拶や会話に織り交ぜると季節感が高まるキーワードをいくつか紹介します。
自然や行事にちなんだキーワードを盛り込むことで、文章から同じ季節を共に過ごしていることを伝えられます。
行事・イベント
ゴールデンウィーク、こどもの日、端午の節句、母の日、茶摘み
天候・暦
五月晴れ(さつきばれ)、八十八夜(はちじゅうはちや)
風物詩・自然
藤の花、菖蒲(しょうぶ)、カーネーション、卯の花、燕(つばめ)、鯉のぼり、柏餅、田植え
5月の時候の挨拶は、ビジネスやカジュアルな場面に応じて適切な表現を選ぶことが大切です。
ビジネス向けでは格式のある漢語調、カジュアルな手紙では親しみやすい口語調を使うと良いでしょう。
時期に応じた適切な語句を用いることで、より季節感のある文章が作れます。
取引先へのご案内文やお礼状、久しぶりに手紙を書く友人への一筆にも、本記事の表現をぜひ役立ててください。