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履歴書の「扶養家族・配偶者欄」の正しい書き方!扶養家族の定義や条件【社労士監修】

履歴書の「扶養家族・配偶者欄」の正しい書き方!扶養家族の定義や条件【社労士監修】

求職活動の際に避けて通れないのが、履歴書の作成です。履歴書はあなたのことを企業に伝える大切な書類ですので、正しくかけているか不安になる人も多いと思います。
特に、「扶養家族・配偶者欄」をどう書けばいいのか悩んでいませんか?

この記事では、扶養家族欄の正しい書き方やポイントを、わかりやすく解説します。不安を解消して、自信を持って履歴書を作成しましょう!

扶養家族とは?

扶養家族とは、あなたの収入をもとに生活している家族のことを指します。
たとえば、配偶者や子ども、場合によっては自分の親や兄弟姉妹も含まれることがあります。

扶養家族がいると、所得税や住民税が軽減され、社会保険料の負担も少なくなるなどの経済的なメリットがあります。

ただし、扶養家族として認められるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

最近では、プライバシー保護の観点から履歴書に「扶養家族・配偶者欄」を設けていないものも増えています。
しかし、「扶養家族・配偶者欄」のある旧式の履歴書を使う機会は今もあるため、書き方を正しく理解しておきましょう。

扶養家族・配偶者欄の書き方見本

履歴書の扶養家族欄には、配偶者を除いた「扶養家族の人数」を記入します。
配偶者については、その下に選択肢があるのであなたの状況にあてはまるほうに丸をつけます。

■ 扶養家族欄見本

扶養家族の定義

扶養家族の定義は、「税法上」と「社会保険上」の2つの異なる基準があります。
履歴書に記入するのは、一般的に社会保険上の扶養家族の人数です。

社会保険上の定義

社会保険上の扶養家族は、主に健康保険や年金制度での「被扶養者」を指します。

参照:日本年金機構健康保険組合「被扶養者になれる人の範囲

税法上の定義

税法上の扶養家族は、国税庁が定める「扶養控除」の対象となる家族を指します。
扶養控除は、所得税や住民税の控除を受けるために、扶養する家族を申告する制度です。

参考:国税庁「o.1180 扶養控除

扶養家族(被扶養者)とみなされる条件

扶養家族(被扶養者)とみなされるには、収入や親族関係など、いくつかの条件を満たす必要があります。
ここでは、具体的な条件について解説します。

主に被保険者の収入で生活をしていること

扶養家族(被扶養者)として認められるためには、主に被保険者の収入で生活をしていることが条件となります。

もし被扶養者の生活が他の収入源によって支えられている場合、扶養認定を受けることはできません。 

ただし、社会保険上の被扶養者とするかの最終的な判断は、各健康保険組合がその実態に基づいて判断します。
また、組合ごとに基準や解釈が異なる場合もあるため、詳しく知りたい場合は各健康保険組合に確認しましょう。

三親等内の親族であること

健康保険上の扶養家族となる条件は、被扶養者が三親等内の親族であることです。

三親等内の親族とは、直系尊属(父母や祖父母)、配偶者、子ども、孫、兄弟姉妹のことです。

配偶者や子どもは別居していても扶養申請が可能ですが、それ以外の親族を扶養する場合には、被保険者と同居していることが条件です。

事実婚でも扶養家族(配偶者)にできる?

事実婚のパートナーは、社会保険上の扶養家族にすることが可能です。
ただし、事実婚を証明する書類や条件によって異なるため、具体的な手続き方法を管轄の年金事務所に確認することをおすすめします。

収入が所定条件を満たしていること

被扶養者になるためには、収入が所定の条件を満たしている必要があります。
基本的に、収入が年間130万円未満であることが求められます。

年間収入

月収の目安

60歳未満

130万円未満

108,334円未満

60歳以上または

障害年金受給者

180万円未満

150,000円未満

参照:日本年金機構健康保険組合「被扶養者になれる人の範囲

さらに年間収入は、被保険者の年間収入の2分の1未満である必要があるため、収入が多い場合は扶養から外れることになります。

ほかの健康保険組合に加入していないこと

被扶養者は75歳未満であり、ほかの健康保険に加入していないことも条件となります。

扶養家族として健康保険の適用を受ける場合、他の健康保険組合に加入していると、その時点で認められなくなってしまいます。

扶養家族・配偶者欄の書き方

履歴書の扶養家族欄には、被保険者本人と配偶者を除いた、被扶養者の人数を記入します。
ここでは、扶養家族欄に記入する際の具体例をケース別で紹介します。

独身・一人暮らし

あなたの収入をもとに生活している家族がいない場合は、扶養家族なしとなります。
履歴書の扶養家族欄は、空欄にはせず「0人」とします。

配偶者と二人暮らし(配偶者の年収130万円以上)

配偶者は扶養の有無に関わらず、扶養家族の人数は0人になります。

配偶者の年収130万円以上の場合は、社会保険上の被扶養者の収入条件を満たさないので、配偶者は「有」配偶者の扶養義務は「無」を選択してください。

配偶者と二人暮らし(配偶者の年収130万円未満)

配偶者は扶養の有無に関わらず、扶養家族の人数は0人になります。

配偶者の年収130万円未満の場合は、収入の条件を満たし社会保険上の被扶養者にできるので、配偶者は「有」配偶者の扶養義務は「有」を選択してください。

配偶者+子どもの三人暮らし(配偶者と子どもの年収130万円未満)

配偶者と子どもを扶養している場合、扶養家族数は配偶者を除いた1人になります。

配偶者については、その下の配偶者「有」配偶者の扶養義務「有」を選択してください。

配偶者と二人暮らし+子どもは別居(配偶者と子供の年収130万円未満)

子どもは別居していても扶養申請が可能ですので、扶養家族数は配偶者を除いた1人になります。
仕送りをしていても、子ども自身がアルバイトなどで、130万円以上稼ぐ場合は扶養からは外れるので注意が必要です。

配偶者については、その下の配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」を選択してください。

母親と二人暮らし(母親の年収130万円未満)

配偶者や子ども以外の親族を扶養する場合には、同居していることが条件になります。

同居している親族がいる場合は、扶養家族数は1人になります。
そして、配偶者「無」配偶者の扶養義務「無」を選択してください。

企業が扶養家族・配偶者欄でチェックしていること

採用担当者は、入社後の手続きや制度のために履歴書の扶養家族欄をチェックします。

たとえば、社会保険の加入手続きや各種税金の算出、さらに住宅手当や扶養手当の支給額を計算するために、扶養家族について確認します。

これによって企業は、社員とその家族が正しく保険に加入できるよう手続きを進めることができます。

扶養家族・配偶者欄がない履歴書を選んでもいい?

応募先の企業から指定された履歴書がない場合には、好きなフォーマットの履歴書を選んでも問題ありません。
ただし、企業側から扶養家族欄のある履歴書を指定された場合は、それを使用しましょう。

扶養家族や配偶者の情報はプライバシーに関わるため、履歴書に扶養家族欄がないものを使用しても、未記入でも基本的には問題ありません。

扶養家族や配偶者の有無や人数が、採用に直接影響することはありません。
入社後の手続きでトラブルを避けるため、答えられる範囲で事前に正直に伝える方が無難でしょう。

まとめ

この記事では、履歴書の「扶養家族・配偶者欄」の記入方法やその注意点を解説しました。 

  • 扶養家族とは、自分の収入で養っている家族のこと
  • 税法上と社会保険上で基準が異なるため注意が必要
  • 企業は税金や手当のために扶養家族の情報を見ている
  • 扶養家族・配偶者欄がない履歴書も増えている

転職活動における履歴書は企業との接点の第一歩です。不安なことは一つずつ解決して、自信をもって応募できる履歴書を作成しましょう。

  • 荒武 慎一(あらたけ しんいち)
社会保険労務士、中小企業診断士

    荒武 慎一(あらたけ しんいち) 社会保険労務士、中小企業診断士

    昭和53年同志社大学卒業、富士ゼロックス株式会社を経て平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金をわかりやすく解説することで高い評価を得ている。(連絡先:0422-90-9990)

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