
派遣の職場見学にはどんな服装で行く?基本の服装から男女別のポイントを紹介
働き方が多様化し、選択肢も増えるなかで「派遣社員」という働き方を選ぶ人も多くいます。
しかし、「正社員や契約社員と何が違うの?」「パート・アルバイトよりメリットはある?」など、派遣社員の働き方に興味を持っていても分からないことが多く、踏み出せない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、派遣社員の働き方の仕組みや給与、働くメリットについて解説します。
正社員やパート、アルバイトとの違いも紹介しますので、自分に合った働き方について考えてみましょう。
派遣社員とは、派遣会社に雇われて、派遣された他の企業で働く労働者のことです。
派遣制度ができたのは1985年、はじめはソフトウェア開発や事務機器の操作などの特別な知識が必要な16種類の仕事に限られていました。
しかし、その後派遣の仕事の種類は増えていき、企業側も派遣社員を使うことが多くなっていきます。
1999年には、ほとんどすべての業務で派遣労働が認められるようになりました。
派遣社員は、雇用主である派遣会社から、仕事の紹介や給与の支払い、労働条件の調整をしてもらいます。
そして実際に行う業務に関する指示は、派遣先の企業から受けます。
幅広い業種で働くことができるようになった派遣社員ですが、いくつかの業務は派遣社員が働くことが禁止されています。
以下の業務では、危険性や求められる専門性が非常に高いため、派遣社員を使うことができません。
また、正社員や契約社員、アルバイトとして働いていた会社で、離職後1年以内に派遣社員として戻って働くことはできません。
参考:厚生労働省「労働者派遣事業について|派遣で働くときに特に知っておきたいこと」
派遣には、「登録型派遣」と「紹介予定派遣」「無期雇用派遣」の3種類の契約の形があり、それぞれ雇用期間や待遇などが異なります。
■ 派遣の3つの種類
登録型派遣 | 紹介予定派遣 | 無期雇用派遣 | |
---|---|---|---|
契約期間 | 最長3年以内 | 最大6カ月 | 制限なし |
雇用契約 | 派遣会社と有期契約 | 派遣先企業と直接雇用契約することを前提に、 派遣会社と有期契約 | 派遣会社と無期雇用契約 |
派遣先企業との雇用関係 | なし | 派遣期間終了後に合意があれば | なし |
給与 | 派遣会社より支給 | 派遣期間中:派遣会社 派遣期間終了後:派遣先企業 | 派遣会社より支給 |
賞与 | ほぼ支給なし | 派遣会社による | 派遣会社による |
現在のワークライフバランスや将来のキャリアを見据えて、自身に合った派遣方法を選ぶことが大切です。
ここでは、3つの派遣の種類について詳しく解説していきます。
「登録型派遣」は、派遣会社に登録したあと、派遣先企業で働いている間だけ、派遣会社と雇用契約が結ばれます。
「有期雇用派遣」や「一般派遣」とも呼ばれています。
派遣先企業と直接の雇用関係はなく、通常は3~6カ月ごとに契約が更新されます。
この契約期間の更新には、派遣先企業からの要望と派遣社員の双方の同意が必要です。
ただし、派遣の3年ルールにより、同じ会社の同じ部署で働けるのは、最長で3年までと決められています。
派遣先企業での就業期間が終わると次の派遣先が決まるまでは、派遣会社との間には、雇用関係も給与も発生しません。
希望条件に沿った派遣先を選ぶことができ、ライフスタイルにあわせて働きやすいため、Wワークを考えている人やアルバイトからのステップアップを考えている人に向いています。
3年ルールとは
派遣法の「3年ルール」とは、派遣で働く人たちが同じ会社の同じ部署で働ける期間を最長3年までと定めたルールです。
派遣会社と「有期雇用契約」を結んでいる登録型派遣の派遣社員に適用されます。
ただし、以下のケースは例外となります。
- 3年が経った時点で、60歳を超えている
- 産前産後休業や育児介護休業の代替要員として働いている
- 明確な終了時期が決まっている「有期プロジェクト業務」に従事している
- 勤務日数が限定されている業務に従事している
3年ルールは、派遣社員が同じ会社でずっと働くことを制限することで、派遣社員が一定の期間ごとに新しいチャンスを探すか、異なる条件で働くことを促しています。
参考:厚生労働省「派遣で働く皆様へ」
「紹介予定派遣」は、派遣社員として働いたあとに、派遣先企業で直接雇用されることを前提とした契約です。
派遣社員として働く期間は最長6カ月です。
この半年間を試用期間として派遣先企業は採用を判断します。
派遣期間が終了したあと、派遣先企業と派遣社員双方の合意があれば、正社員または契約社員として直接雇用契約を結びます。
派遣社員は派遣期間の間に、実際に働きながら企業風土や職場環境が自分に合っているかを見極めることができます。
さらに、派遣先企業にとっても、労働者の適性を見極めることができるため、採用後のミスマッチが発生しにくいという点がメリットです。
ただし、派遣期間終了後、直接雇用の合意が得られない場合は、その時点で派遣先での仕事は終了してしまいます。
その場合は、派遣会社から別の派遣先を探してもらうことができます。
派遣会社に登録後、派遣先の企業を紹介してもらうという流れは、登録型派遣も紹介予定派遣も同じです。
大きな違いは、派遣先企業で直接雇用されることを前提とした契約かどうかです。
そのため、下記のようなルールの違いがあります。
登録型派遣の場合、派遣先の会社が派遣社員を選ぶために面接を行ったり、履歴書を事前に確認したりすることは基本的に禁止されています。
一方、紹介予定派遣では、派遣期間終了後に直接雇用することを前提としているため面談することができます。
登録型派遣では派遣期間中に直接雇用はできませんが、紹介予定派遣は派遣期間中でも、双方の合意があれば直接雇用契約を結ぶことが可能です。
無期雇用派遣は、派遣社員と派遣会社が、契約の終了期間を決めずに雇用契約を結びます。
つまり、派遣会社の無期雇用社員となり、派遣先企業へ派遣されます。
もし派遣先企業での就業期間が終わってから、別の企業への派遣までに時間が空いたとしても、その間も派遣会社とは雇用関係があり、給与も支給されます。
登録型派遣とは違い、契約更新されない派遣切りのリスクや雇用の不安定さを解消できるのが特徴です。
さらに、2013年に「無期転換ルール」によって、条件を満たす登録型派遣として働く人が、無期雇用派遣へと転換できるようになりました。
無期転換ルールとは
「無期転換ルール」とは、同じ会社で有期労働契約が更新されて通算5年を超えたとき、労働者が申し込むことで、無期労働契約に転換できるというものです。
登録型派遣は、派遣先に就業するたびに、有期労働契約を結ぶことになります。
同じ派遣会社との間で、登録型派遣としての契約期間が通算5年を超えた場合、無期転換の申し込みができるようになります。
参考:厚生労働省「無期転換ルールのよくある質問(Q&A)」「有期契約労働者の無期転換サイト」
正社員と派遣社員とでは、何が違うのでしょうか?
どちらも働くための雇用形態のひとつですが、契約する相手(雇用主)や働き方が違います。
派遣社員 | 正社員 | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 就業先の会社 |
同じ職場での 就業期間 | 最長3年 (無期雇用派遣を除く) | 期間の定めなし |
給与や福利厚生 | 派遣会社の待遇 | 就業先の会社の待遇 |
社会保険 | 条件を満たせば派遣会社で加入 | 就業先の会社で加入 |
任される仕事 | 派遣先の正社員のサポートをする仕事が多い | 責任のある仕事を任されることが多い |
正社員は勤務先と直接契約を結びますが、派遣社員は派遣先企業と契約を結ぶことはできません。
派遣会社と雇用契約を結んで、派遣先企業で働きます。
そのため、無期雇用派遣だとしても派遣先企業からは「外部社員」という扱いです。
責任の重い仕事を割り振られることは、基本的にありません。
派遣社員は、正社員のサポート役として業務を遂行します。
勤務地や勤務時間、派遣期間など条件を提示して、自分にあった仕事を選ぶことができます。
派遣社員と同じく、一定の期間雇用契約を結び働くパートやアルバイトとはどのような違いがあるのでしょうか?
どちらも非正規雇用になりますが、働く場所や契約の仕方に違いがあります。
派遣社員 | パート・アルバイト | |
---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 勤務先 |
雇用期間 | 有期契約 | 有期契約 |
契約更新 | 制限あり | なし |
業務範囲 | 契約にもとづいた業務 | 柔軟な業務 |
給与 | 時給 | 時給 |
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結びますが、パート・アルバイトは就業先と直接雇用契約を結びます。
原則、有期契約ですが、パート・アルバイトは更新には制限がなく、長期か短期かは自由に決めることができます。
派遣社員は契約に基づいて、特定の役務を提供する役割をもっており、派遣先企業で特定の業務を担当します。
そのため、募集時には求めるスキルが提示されているのが一般的です。
一方、パートやアルバイトは、仕事内容はあらかじめ決まっているかもしれませんが、業務内容は比較的柔軟に対応することが求められます。
しかし、高いスキルを求められる業務は少ない傾向にあります。
求められるスキルが高い分、派遣社員の時給はパート・アルバイトよりも高めに設定されていることが多いです。
派遣社員の一般的な給料について情報をまとめました。
ここでは、平均年収や主要な職種の平均時給、ボーナスについて解説します。
派遣社員の平均賃金15,968円(8時間換算)をもとに平均年収を算出すると、平均賃金は約390万円となりました。
平均賃金15,968円(8時間換算)、年間休日数は120日で算出
365日 - 120日 = 245日
245日 × 15,968円 = 3,912,160円
ここで算出された年収は全業種の平均年収であり、残業代や特定の手当ては含まれていません。
また、有期雇用の派遣社員と無期雇用の派遣社員では、給与水準が異なる可能性もあります。
参照:厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
職種によっても派遣の時給は異なります。
ここでは、主要な職種の平均時給を紹介します。
「はたらこねっと」に掲載された、派遣・紹介予定派遣の求人広告データをもとに集計したレポートによると、2024年8月度の派遣求人平均時給は以下の通りです。
職種 | 平均時給 |
---|---|
事務・オフィス系 | 1,568円 |
販売・営業・飲食・サービス系 | 1,521円 |
Web・クリエイター系 | 1,778円 |
IT・エンジニア系 | 2,265円 |
医療・介護・研究・教育系 | 1,526円 |
工場・軽作業・物流・土木系 | 1,369円 |
主要な職種のうち、もっとも平均時給が高かったのは、「IT・エンジニア系」でした。
IT・エンジニア系の派遣の仕事とは、CAD、SE・プログラマ、ネットワークエンジニア、ヘルプデスク、運用管理・保守、設計、評価・テストなどです。
対して、もっとも低かったのは「工場・軽作業・物流・土木系」です。
工場・軽作業・物流・土木系の派遣の仕事とは、ドライバー、軽作業、食品製造、製造(組立・加工)などです。
時給が高めの職種の傾向として、デスクワークが中心となっていることがわかります。
対してサービス業や医療・福祉系は大きな差はみられません。
参考: ディップ株式会社「2024年8月度派遣求人3大都市圏の平均時給は1,576円」
「登録型派遣」の場合、基本的にボーナスは支給されません。
派遣会社と派遣期間のみ雇用契約を結ぶため、契約時に決めた給与以外もらうことはできないのです。
対して、派遣会社と雇用契約を結ぶ「無期雇用派遣」では、ボーナスがもらえる可能性があります。
派遣会社の就業規則に、ボーナスに関する規定があれば支給されます。
ただし、ボーナスの支給規定がない会社もあるので、事前に条件を確認しておくことが大切です。
派遣社員として働くまでの一般的な流れは以下の通りです。
ここでは、それぞれのステップについて、詳しく紹介していきます。
派遣で働くための最初のステップは、派遣会社への登録です。
登録方法は、派遣会社に来社して登録する方法とWeb登録の2パターンがあります。
登録にあたって費用はかかりません。
登録するときは、以下の情報を派遣会社に提供するのが一般的です。
派遣会社の担当者は、あなたに合った仕事を紹介するために、希望をヒアリングし、条件にマッチする求人を探してサポートするのが仕事です。
そのため、働きたい勤務時間や勤務地などの希望条件をきちんと伝えることが大切です。
また、登録時に派遣会社によってはスキルチェックを実施します。
例えば、パソコンの基本操作やタイピング(ブラインドタッチ)、一般教養などです。経歴によっては語学力や専門的な知識もチェックされます。
登録したら、派遣会社から仕事の紹介があります。
あなたが登録時に入力した、経験やスキル、希望の就業条件にもとづいて就業先を探してくれます。
もし登録当日に希望条件とマッチした仕事があれば、即日紹介をしてもらうこともできます。
また、Web登録時にすでに自分で応募した仕事がある場合、その仕事に関する詳細について説明を受けることができます。
もし紹介された仕事が希望と合っていれば、エントリーが可能です。
紹介された案件でも、しっかりと希望条件を満たしているのか、自身でもチェックすることが大切です。
もし希望と合わなければ断ることもできます。
受けたい仕事を決めたら、派遣会社内の選考を通過する必要があります。
ひとつの仕事に対して、応募者が複数いる場合、派遣会社は企業が求める要件にもっとも適した人を選ぶことになります。
これは派遣会社が派遣先企業から提示されている条件とあっているのか、事前に判断することも目的とされています。
登録型派遣の場合、面接は禁止されているため、派遣先との面接などの選考はありません。
選考結果は通常、1週間程度で電話またはメールで届くので待ちましょう。
選考に通った場合、企業訪問・顔合わせのステップに進みますが、不合格だったときは新たな仕事の紹介を受けることが可能です。
選考を通過すると、企業訪問もしくは顔合わせが行われます。
この段階で派遣先企業の担当者より、仕事の詳細や業務内容について説明を受けるのです。
最近では、電話やWeb会議システムを利用したリモートでの顔合わせも増えています。
業務内容や勤務条件に関して、お互いに認識のずれがないように確認しておくことが重要です。
派遣社員として働く前に、仕事内容や企業文化について理解しておくと職場環境や業務にも早くなじめるでしょう。
企業訪問や顔合わせのあと、双方より合意が得られれば就業開始です。
派遣社員として正式に勤務が決まると、3日~1週間ほどの待機期間を経て勤務開始となります。
ただし、働き始めてから、契約内容と違う業務を命じられたり、勤務条件に問題があったりした場合は、派遣会社の担当者に相談しましょう。
派遣会社は派遣社員をサポートする立場にあります。
そのため、派遣先企業でのトラブルはすみやかに担当者に報告することで、問題解決に向けて対応してもらえます。
働き続けるうえで、不安なことがあれば担当者に相談することが大切です。
ここでは、派遣社員として働くメリットを紹介します。
派遣社員の業務は、契約であらかじめ決められているため、契約外の仕事を指示されることはありません。
もし、派遣先企業の社員が契約内容(仕事内容)を正しく理解していないと感じたら、すぐに派遣会社に相談しましょう。
担当者が対応してくれます。
契約にもとづいた仕事以外はしなくてよいため、業務範囲が明確です。
自分がやるべき仕事に集中できるところが、派遣社員として働く大きなメリットといえるでしょう。
派遣社員は、未経験の職種にも挑戦しやすいのが魅力です。
マスコミやIT企業、外資系企業など、専門性の高い業界の派遣も少なくありません。
また、クリエイティブ業界でも派遣の需要が高まりつつあります。
こうした専門性の高い仕事や、経験者でなければ応募できない職種は、正社員として転職・就職するのはなかなか難しいでしょう。
しかし、派遣社員としての求人であれば、未経験でも就業のハードルが低い傾向があります。
未経験の仕事や業界でも、派遣社員として働きながら経験を積むことができます。
経験をつむことで、その後正社員としての就職も考えられるかもしれません。
派遣社員であっても条件を満たすことで、社会保険に加入することができます。
社会保険は、企業に雇用されている人が、日常生活のさまざまなリスクに備えるために加入できる保険制度です。
社会保険加入の手続きは、派遣先の企業ではなく、派遣会社がおこないます。
社会保険に加入するメリットは、保険料を会社と折半できるという点です。
【厚生年金保険と健康保険】
【雇用保険】
【介護保険】
派遣社員の場合、特に契約期間がどのくらいかに注意が必要です。
通常、契約期間が2か月以下のときは社会保険には加入できません。
しかし、2か月以内の契約でも、延長される見込みがあるときは加入することができます。
派遣会社には、派遣社員へスキルアップ研修やキャリアコンサルティングなどを実施する「キャリア形成支援制度」が義務付けられています。
今希望する就業先だけでなく、中長期的なキャリアプランを共有することで、さまざまなサポートを受けることができます。
人手不足が加速するなかで、応募者に求められるスキルも上がっています。
派遣会社は、派遣社員にキャリア形成に関するアドバイスや、研修をすることでスキルアップできるようにサポートしてくれます。
新しい環境に挑戦しやすい体制が整っていることも、派遣社員として働く強みといえるでしょう。
この記事では、派遣社員という働き方について解説しました。
派遣社員は、働く企業や業務内容、期間などが契約によって決まります。
正社員やパート、アルバイトとの雇用形態の違いを理解することで、自分にあった働き方を選ぶことができます。
この記でご紹介した内容を踏まえ、あなたに派遣社員という働きてかたがマッチするのか検討して、理想のキャリアを叶えられる選択をしてください。